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1滴目。安息は昨日まで
太郎は、下駄箱を空けて閉めた。
学校では当然の、この光景。しかし太郎のそれは少し違っていて、かれこれ10分近く、その行動を繰り返していた。
おかしい!―――何度確かめて見ても、下駄箱の中にあるそれは変わらない。むしろ何度も確認するのことによって、より正確にそれが手紙であることが分かる。
どうなってるんだ。ここは現実であってゲームの中じゃない。ましてや少し何かが間違って僕の下駄箱に女性からの手紙があったとして…。
その送り主がマールレイナであるわけがないのだ。
恐る恐る太郎は赤くお世辞にも可愛いとは言えない封筒を手にし、顔同様に美しい彼女の文字を眺めた。
………イタズラなのか?―――太郎がここまでネガティブになるのも仕方がない。佐藤太郎、16歳。これといって秀でたものもなく平々凡々。ましてや、その外見も“モテる”だとかには程遠い。それが頼によって先週転校してきた学校一の美少女に手紙をもらう。
全てが何かを期待するのに出来すぎているのだ。
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