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担架が運びこまれ、テルが横たわったまま乗せられた。「呑龍」がそのとき解けたのだろう。びくびくと全身を痙攣(まひ)させ、テルが苦痛の叫びをあげる。
3組1班の残りメンバーが担架を囲んだ。痛みに顔を歪(ゆが)めながら、テルがなんとか絞りだした。
「なんてざまだ。おれはやられちまったのか。ぜんぜん記憶がないんだ。おれの試合はどうだった?」
医療技術が進歩したこの時代でも、テルの右腕はもう二度と元には戻らないだろう。軍医志望ではないタツオにもそれくらいはわかっていた。医師は機能の復元よりも軍用の義手を勧められるかもしれない。それほどの大怪我だった。
救急班は腕のつけ根を固く締め上げ、出血を押さえているが、腕に掛けられたタオルは鮮血で染まっていた。担架からも血がしたたり落ちている。
タツオは無事なほうの左手を握って声をかけた。泣かないようにするので精一杯だ。
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