3 それは繋がる手に導かれる

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<syu> 奏と付き合いだしてから、自分がこんなにも奏に弱いのかと思い知った。 たかが隣を歩くだけで緩んでくる口元。 不意に触れられた腕なんかに心臓を跳ねさせて。 見上げる瞳に目尻が下がる。 新庄はこんな俺に顔をひきつらせたが、何がおかしい? 隣にいる、ただそれだけで満足している俺だったが、ふと奏の様子が気になった。 何か言いたげな瞳。 求めるように見上げられるそれに、思うのは男なら必ずたどり着く下心。 だがきっと、 ……コレはぜってぇ違うな。 とりあえず、その下心は別な引き出しにしまい込んだ。 今まで周りにいた女とは違う。 目の前にいるのは、すげぇ大事にしたい存在。 隣を歩くだけでうるせぇ心拍と満足感。 たまに思い切って出した手につながる小さいそれは、強く握ると壊れそうで、慣れないそれは今もまだ慣れる事はねぇ。 だが、なにも言わずに自然に手がつながる事はまだない俺達だから、何度その手をつかもうとしたかわからない小せぇ勇気は未だ3分の1程度しか発揮できてねぇ。 ……これじゃあ、新庄の野郎にへたれ呼ばわりされてもおかしくねぇか 浮かんだ見慣れた顔を頭から追い出して、とうとう俺は奏に聞いた。
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