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「いやじゃ……ねぇか?」
「……へ?」
多分、俺の質問がまるっきり考えてもいなかったんだろう。
ぽかんと口を開けた奏は我に帰ると首をかしげた。
「いやって、どうして?だって、今私の方が手、つなぎたいっていったんだよ?」
「あー、それはそうだな」
確かにそうなんだが。
不思議そうに覗き込む奏を少し見て。
自分でも何をこんなに躊躇ってるのかと苦笑を洩らした。
「いや、新庄や双子にナミなんかの前で手をつながれるのが、いやじゃねぇかと思ってな」
前にアイツ等の前で手をつないでいた時、思いっきり頬染めて照れくさそうにしていただろ?
そう言えば奏はみるみる目を見開き視線を揺らす。
「て、照れはするけど……うれしいなって思って、」
照れながらそう言い、伏せられる顔をあげてほしくて。
俺は奏の頭にぽんと手を置く。
そうすれば必ずその顔は持ち上がって、俺を見上げる瞳に口の端が持ち上がる。
「秀?」
「あぁ」
「秀の頭ポンポンも好きだけど、」
「っ、あぁ」
「手、つなぎたいな」
頬染めて、照れながらもハッキリ言われた言葉は願ったりかなったりだろ。
俺は立ち上ってこの手を差し出す。
「お手をどうぞ?お嬢さん」
「ふふっ」
くすくす笑い差し出された小せぇ手を握りこんだ。
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