3 それは繋がる手に導かれる

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「だめなわけねぇだろ?」 言えば奏は嬉しそうに一度目を伏せて、見上げたその目はきらきらと揺れる。 「へへっ、」 照れて笑うその顔は最高に可愛いから。 その笑顔を見れるためなら何でもしてぇなんて思う。 「奏、」 「なぁに?」 「今日は甘いもん食わなくていいのか?」 幸せそうな顔を見たくて聞けば、奏は少し考えて首を振った。 「毎日食べてたら大変なことになる」 「くくっ、大変な事?」 「うん、罰あたりそう」 真剣な顔で言うから、きっと本気でそう思ってるんだろう。 思わず笑えば少し恨めしそうに俺を見上げて。 それから一緒にふわりと微笑んだ。 お互いバイトが無い日は、なるべく長く一緒にいてぇ。 「駅前でもぶらつくか?」 聞いた俺に奏は考えたようにする。 そのとき必ず左上を見上げるから、そのしぐさがまた可愛いなと思う。 とたん、ちらりと俺を見上げて、それかから躊躇うように口を開いた。 「じゃあ……うち、来る?」
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