5 それは初めての幸せ

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<shu> 頭がおかしくなるんじゃねぇかって思った。 つないだ手、触れた頬、柔らかい髪。 薄く開いた唇にキスしたい、そう、初めて思う。 今まで、キスの意味が良くわからなかった。 したいとも思わなかったし、求められてもした事はなかった。 だが今、目の前の欲に抗えず、その唇に触れた瞬間、言葉にできねぇ感覚がすとんと落ちた。 「……、…っ……」 何度も角度を変えて、求めるまま長く、深く。 「……っ、はっ……」 奏が僅かに離れた隙間息をする吐息すら全部。 ずっとこのままでもいい、 「……し、……しゅ……」 目を開き、目の前で震える瞼に満足する。 苦しいのか僅かに身を引く奏を追うように。 いっそこのまま押し倒したい、 その欲望もまた、今まで味わったことのない感覚を必死で押しとどめ、体を引く奏を引き寄せた。 怖い? あぁ、怖ぇ。 まだ奏の全てを手に入れる勇気がねぇ。 ついやっと手をつなぎ、ついやっと衝動的じゃなく、奏を抱きしめた。 それだけで、今は満足で、コレ以上まだ進まなくていいと思える。 「……っ、はぁ、……悪ぃ、」 「……ん、……はぁ、……ううん」 名残惜しく離した奏の唇は赤く色づき吐息を漏らす。 濡れたそこをぬぐってやれば奏は目を伏せた。
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