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<shu>
頭がおかしくなるんじゃねぇかって思った。
つないだ手、触れた頬、柔らかい髪。
薄く開いた唇にキスしたい、そう、初めて思う。
今まで、キスの意味が良くわからなかった。
したいとも思わなかったし、求められてもした事はなかった。
だが今、目の前の欲に抗えず、その唇に触れた瞬間、言葉にできねぇ感覚がすとんと落ちた。
「……、…っ……」
何度も角度を変えて、求めるまま長く、深く。
「……っ、はっ……」
奏が僅かに離れた隙間息をする吐息すら全部。
ずっとこのままでもいい、
「……し、……しゅ……」
目を開き、目の前で震える瞼に満足する。
苦しいのか僅かに身を引く奏を追うように。
いっそこのまま押し倒したい、
その欲望もまた、今まで味わったことのない感覚を必死で押しとどめ、体を引く奏を引き寄せた。
怖い?
あぁ、怖ぇ。
まだ奏の全てを手に入れる勇気がねぇ。
ついやっと手をつなぎ、ついやっと衝動的じゃなく、奏を抱きしめた。
それだけで、今は満足で、コレ以上まだ進まなくていいと思える。
「……っ、はぁ、……悪ぃ、」
「……ん、……はぁ、……ううん」
名残惜しく離した奏の唇は赤く色づき吐息を漏らす。
濡れたそこをぬぐってやれば奏は目を伏せた。
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