第1章

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ムカつく! ムカつくっ!! ムカつくっっ!!! 叫びたい感情を何とか押し込め、店を飛び出した私。鞄の中から、携帯をひっつかんで、即コール。すると、まるで待っていたかのように、すぐに繋がる電話。 ” もしも~し、どした? ” いつもと変わらず、陽気な声に、ほんの少しだけ肩から力が抜けた。 「まだ……仕事?」 いつも忙しくしてるから……まだ会社かもしれない、そう思ったけれど、電話せずにはいられなかった…… ” さっきちょうど終わった、これから帰るとこだよ? ” よかった…… 「なら、○○駅まで迎えに来てくれない?」 ” 駅ね、いいよ♪駅前のコンビニで待ってて、 ” 「うん……ありがと」 ” どうした? 弱ってるな? ” 「……どうだろ」 ” 声に元気がない ” 「そう……? でも、そう聞こえるなら……そうなのかも」 ” ……すぐ行く ” 「うん……待ってる……ありがと、お兄ちゃん」 切れた電話。私は、グイッと目に浮かんだ涙を手の甲で拭った。
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