第1章

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「えっ? 先輩、どうしたんですか?」 「うん……休みの日に悪いんだけど……柏木いる?」 漏れて聞こえた声にギョッとした。 「えっ?」 でも、驚いたのは矢島君もだった。 「一緒にいるんだろう?」 「えっ……あっ、はい、いますけど……」 そこでいるって言っちゃうの? アホ、矢島っ! 心で悪態。 「なら……、柏木さんにかわってもらえる?」 「えっ?」 戸惑いの矢島君。もちろん私も、えぇっ~、嘘でしょ?! なんで?とアタフタする。 「えっ……っと、あっ、はい……」 首を傾げつ、しぶしぶって感じで、矢島君が耳に当てていた携帯をおろし、私に差し出す。 「菅沼先輩から電話――、柏木さんにかわってほしいって」 「あっ……」 「出れる?」 「……あっ、うん……」 受け取ったけど、すぐには出られなかった。大きく深呼吸をして――、 「俺……そこにいるから」 仕事の事だと勘違いしたのか、はたまた、気を使ってくれたのか……よくわからないけど、矢島君が私から数歩、距離をとる。
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