第1章

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「制御室に向かう。エレベータで」  体力を付けなければ。 第九章 山風蠱(さんぷうこ)  制御室に入ると、出雲がシステムを復活させていた。 「大和…」  血まみれでかつ、包帯だらけだけど、無事だと思う。 「ソニアを着陸させる」  風呂に入りたい。  しかし、着陸したソニアに乗り込むと、大神に見つかった。 「風呂の前に池だな」  担がれて、池に投げ込まれてしまった。すごく寒い。 「万能薬だからな」  それは分かっているが、怪我より寒さで死にそうだった。 「風呂」  やっと風呂に辿り着くと、出雲が先に入っていた。 「当麻が居て良かったですね」  怪我の具合を、出雲がじっくり確かめる。 「全く、死にますよ。普通は」  かなりの重症だが、確かに当麻の腕が良かった。 「温まったら、俺の部屋に行きます」  有無を言わせない迫力がある。このまま、風呂に入っていようかと思ったが、出雲に手を引かれて部屋に連れ込まれてしまった。 「他のメンバーは、復興の手伝いをしています。中央ビルチームだけ、一日休暇としました。御卜と御厨が交代したらしいので、袈裟丸も部屋に籠りましたよ」  背中の怪我が酷いので、舐めましょう、などとうつぶせで、舐められていた。太ももも、足も、じっくり舐められていた。  出雲は、どれもじっくり攻める。中の洗い方知っていますかと聞かれ、大神に教えられたと応えると、出雲が不機嫌になった。 「全部、俺が教えたかったな」  当麻に貰った薬を塗ると、やっと使い方の意味が分かった。当麻、何を考えているのか全く分からない。  出雲のキスは、執拗で長い。唇を噛まれ、舌を入れられた。出雲の体を跨ぐ格好で、膝に乗せられると、腰を掴まれた。中央部に誘導される形で、下に降ろされる。  ゆっくりとした愛撫に、全身の力が抜けてくると、やっと全部入れることができた。 「大和、今日は、すごく素直ですね」  俺の中心に、出雲が在る。  出雲の首にしがみ付き、バランスの悪い体制を持ち直す。 「響紀、頼りにしている」 「それと?」  もっと言ってと、出雲が体を揺らした。 「響紀、ずっと仲間でいて」 「それだけ?」  思考が麻痺する。 「響紀、大好き。ずっと傍に居て」 「了解」  出雲が満足したのか、動き出す。俺は、動きに合わせて、揺れ続けた。  結局、二人から一人は選べない俺。情けないとは思うが、どちらも失えないのだ。
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