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そして、もう充分だというぐらい叫んだ後、私は男に恐る恐る言った。
「あの…服を着たいんで、出て行ってもらってもいいですか…?」
私の言葉に彼は「あぁ」と納得し、寝室から出て行った。
あれは絶対に今更なのに、とか思ってた顔だ…くそう!
ぶつぶつ文句を言いながら、急いでその辺りに落ちてる服やら、下着やらを拾って身に付ける。
今日が会社休みで本当に良かった。この気持ちのまま仕事なんて、絶対に出来ないもの。
酔った勢いで知らない人とそういう事して、更に結婚…は、まだ信じてないけど。
とにかく、きちんと話し合わないと。
冷静なのか、そうじゃないのか。
自分でもよく分からない心情で、私は寝室から出た。
「あ、思ったより早かったね」
ドアを開けると、彼が廊下の壁にもたれるように立っていた。
そして、私が出てきたのを確認すると、彼は私をリビングへと案内した。
「君、昨日はリビングとお風呂を間違えたから大変で…」
「そ、それは…ご迷惑を…」
だけどいくらこの家が私の家より数倍も広いとはいえ、もうお酒も抜けている。
流石に今の私はリビングとお風呂を間違えないと言いたいが、昨日の事を何も覚えてないので、大人しくしていよう。
リビングとお風呂場を間違えるって…どんだけ酔っていたんだ。
覚えてなくて、嬉しいような複雑なような。
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