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昨夜、私が一ノ瀬さんに何を言ったのかは覚えてない。
だけど、きっと。
今、私が思っている事全て、この人は知っているのだろう。
この醜い感情も、全て。
だからこそ彼は、この結婚を私に持ちかけた。
それならーーーー。
「一ノ瀬さん」
私は自分の左手を彼に差し出した。
「指輪、はめて下さい」
私の言葉に一ノ瀬さんは笑った。
そして、ポケットから指輪を取り出し、私の薬指にはめてくれた。
そうだ、私はずっとーーーこれだけが欲しかったんだ。
私の左手で光る指輪を見つめ微笑む私に、「ダーリンって呼ばなくていいの?」と、彼は意地悪そうに笑った。
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