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それよりも、だ。
今の私には、もっと他に考えなければならない事がある。
目の前で無残な姿になっているじゃがいも達。
どうしよう…これ。
仕事を辞めてしまったので、毎日する事がない。
夏樹さんは好きな事をしてて良いと言ってくれたが、それは流石に申し訳なさすぎる。
なので、せめて料理ぐらいはまともにしてみようと思った。
そして料理に慣れたら、どんどん次の家事へステップアップしよう。
ゲームの世界でも料理は大事なスキルだ。
なので、ゲームの世界のように、美味しい料理を作って胃袋を掴んでやろうと思った。
だが、現実はそう甘くはなかった。
今までまともに料理もした事ない人間に、そんな事が出来るはずがなかった。
じゃがいもの皮抜きをしてみたが、食べられる部分は殆ど残っていなかった。
じゃがいもって皮の方が多かったっけ…?そんなわけあるか。
自分で自分にツッコミを入れてしまうぐらい、私は焦っていた。
だって、料理も満足に出来ない、家事なんて論外。朝も弱い(なので夏樹さんが起こしてくれる)。ほぼ毎日ゲームばかりしている。
我ながら酷い。酷すぎる。
妻としてだけでなく、人間としてもどこか終わっているような気さえしてきた。
このままでは絶対に駄目だ。
物は試し、やれる所までやってみよう。
そう思い、私はエプロンの紐をきつく結び直した。
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