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「お帰りなさいー!」
玄関に行けば、夏樹さんが丁度靴を脱いでいる所だった。
「ただいま、茜ちゃん。あと…はいこれ、お土産」
そう言って、夏樹さんは私に白い箱を渡してきた。
何だろうこれ…?
「美味しそうなケーキ屋さんがあったから。茜ちゃん、甘い物好きでしょ?」
「大好きっ!!」
興奮のあまり食い気味で返事をしてしまった。
私が甘い物が大好きなのを、夏樹さんが知っていた事には驚いたが、それ以上に嬉しかった。
嬉しいなぁ~ご飯の後のデザートに食べようっと。
スキップしながら、私はキッチンへと向かった。
そして、ケーキを冷蔵庫に入れた後作った料理を盛り付ける。
味見はしてないが、見た目はとても美味しそうだ。
「あれ、茜ちゃんが作ったの?」
スーツ姿から部屋着に着替えた夏樹さんは、テーブルに並ぶ料理に少し驚いている。
「料理ぐらいしなきゃと思いまして!ゲームの中でも、料理は大事なスキルだし」
得意げに言う私に、夏樹さんは笑った。
「そっか。嬉しいな、誰かの手料理を食べるのなんて久しぶりだよ」
私なんて、誰かに手料理を振る舞うのは初めてだ。
私と夏樹さんは向かい合うように椅子に座り、そして一緒に手を合わせた。
「「いただきます」」
誰かと一緒にご飯を食べるのは、いつ振りだろうか。
まあ、ゲームの中では、ほぼ毎日食べてるのだが。
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