ハッピーエンド契約

①

高校卒業と共に就職した今の会社。

渡された書類をどんどん慣れた手つきで、パソコンの中に入力していく。

ちらりと横目で時計を確認すると、私の上がる時間まであと少しだった。

ああ、早く帰ってゲームの続きをしたい。

昨日も夜遅くまでゲームをしていたせいで、少し寝不足だ。

でも、まあ仕方ない。
あとちょっとでハッピーエンドだったんだもん。途中で放り出すなんて出来ない。

だけど結局、最後の最後で選択肢を間違えてハッピーエンドを見る事は出来なかった。

やっぱ、攻略サイト見ないとだめなのかな…。

「藤堂さん、上がっていいよ」

もうほとんどやる気もなくなった頃、ようやく声を掛けられた。

その言葉を待ってました！
私はなるべく顔には出さず、笑顔で他の社員さんに挨拶してロッカーへと向かった。

今日の晩ご飯、どうしようかな。
そうだ、ゲームをしながら食べれるものにしよう。