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「あっ、ごめんなさい…」 肩をぶつけた相手は、同い年か少し上ぐらいだろうか。 スーツを着た好青年だった。 少し色素の薄い髪に、黒のメガネをかけていて、顔はモデル並みに整っていた。 おお…何だかアニメの世界に居そうな人だ。 思わず見つめてしまうと、男の人はにこりと笑った。 「此方も不注意でしたので、お気になさらず。ところで、一つお聞きしたいのですが…」 そう言って彼は、携帯の画面を此方へ向けてきた。 画面の中には見慣れたバーの外観が映っていた。 「この店がこの辺りにあるはずなんですが、ご存知でしょうか?」 「あぁ、ここなら…この道じゃなくて、あっちの道を…」 このバーは確かにちょっと分かりにくいんだよなぁ。 私は身振り手振り男の人にバーの場所を一生懸命伝えたが、どうやらイマイチ伝わってないようだ。 昔から説明するのが下手くそだと、よく怒られたっけ。 私は少し悩んだ後、店の前まで案内しようかと提案してみた。 本音を言えば早く帰って、ゲームをしたい。昨日回収出来なかった誠くんのハッピーエンドを見たい。 だけど、困ってる男の人を見捨てるわけにはいかない。 というか、私の説明が下手なのが申し訳なくて。 男の人も一瞬、私の提案に悩む素振りを見せたが、このまま私の説明だけではお店に着かないと分かったのだろう。 少し頭を下げながら、「…お願いしてもいいですか?」と言った。 私は笑顔で了承した。
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