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だけど、取り敢えず服を着なければ。
衝撃的な事実のせいで、すっかり忘れていたけれど、今の私は何も身につけていない。
つまり、生まれたままの姿というわけで。
そう思ったら一気に羞恥心がこみ上げて来て、シーツにくるまった。
色々と恥ずかしい…!
ムダ毛処理はしてたっけ?あぁ、こんな事ならダイエットしとくんだった!
自分には到底縁のない事だと思い、色々と怠っていた事を後悔した。
「あれ、なに?今更恥ずかしがっても…もう全部見たよ?」
頭上からそんな言葉と笑い声が聞こえてきて、更に恥ずかしくなった。
この人、昨日と違って…意地悪だ!
シーツからちらりと顔を出して男を睨めば、彼はくすくすと笑った。
「そんなに睨まないでよ。可愛い顔が台無しだよ?」
思わず寒気がしそうな台詞も、この男の容姿では様になっている。
「あの、私…何も覚えてないんですけど…」
恐る恐るそう切り出せば、男は少し納得したような顔をした。
「だろうね。君、凄く酔ってたから」
一体どれぐらい呑んだのか。
想像するのも恐ろしい。
見知らぬ人の前で、とんだ醜態を晒してしまった。
穴があったら入りたい…!
シーツから完全に顔を出し、男に謝ろうと思った時。
私はある事に気がついた。
この人…指輪してる?
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