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「どういう、事ですか?」
少し問い詰めるように、俺は先生に尋ねた。
「簡単な話だ。我々の開発した人体の機械化手術で使用される機器は人間のパーツを完璧に模している。つまり、脳を機械に変えたとしても引き続き、記憶し、感情を表すことができるはずなんだ。だが、実際はできなかった。幾度と実験を繰り返したが結果は変わらず、それは不可能だと結論付けられた。」
「……そんな」
「なら、なぜ?」
「後になって我々は、ひとつの仮定を出した。それは、ドール自身が強く願い、搭載された機械に働きかけることができれば、可能になるだろう、とな。」
「強い、願い」
「つまり?」
「百合ちゃんが、明と一緒に、笑ったり泣いたりして、同じ時間を、感情を、共有したいと、心の底から、願った、ということだ。」
ニタリ……と八重歯を見せる厘に、顔を真っ赤にした百合が慌てて言う。
「な、ななななにをを!?」
「へぇそうなのか。」
「あ、あきゅら!?」
「慌てすぎ、なんだそのモンハンに出てきそうな名前は。」
「だ、だってぇ」
慌てる百合はやはり可愛かった。
ハレルーヤ♪
「ふふふ、つまりそういう
ことだ。」
意味不明に厘に締め括る。
つまりそういうことだろう。(適当)
「明。これはどういう事?」
「いや、だから仕事で……」
「彼女に関しては隊長からの手紙でおおよそは把握している。私が聞きたいのは……」
ビシィッ!と俺の目の前に一枚のハガキを突き出す百合。
そこには『僕の動物園by明』というタイトルの怪しいイラストが載せられていた。
「明、隊長の手紙に印刷されていたこの絵は一体何?それに、『嫌なのに、明に無理矢理描かされて……』と書いてある、どういう意味?」
「いや、それは……」
「……ボー……」
捲し立てるように言う百合に何から説明していいか戸惑う俺を、じぃ……と見つめる少女。
どうしてこんなことに……
事は、数分前へと遡る。
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