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樹「…好きなのに好きと言えず、嫌われるのが怖くて内気になって勝手に恋して、怯えて、辛くて、泣きそうになって…。あぁ…なんだオレも結局会長と同じじゃん。……会長は、窓から放り投げたオレの事恨んでるかな?」
ふわっ
誰かに後ろから抱きしめられた。
ここにはオレか会長しかいない…って事は…。
龍「…樹哉」
樹「!!?」
龍「恨んでないよ…」
樹「会長!?」
龍「むしろ感謝しているくらいだ…」
樹「えっ!??」
龍「親衛隊を含めてオレの周りの奴等はみんなオレの事を見て見ぬフリをしていた。それか腫れ物を扱うような接し方だった」
樹「…………」
龍「だからさ、お前の行動は凄く新鮮だったんだ…親衛隊のクセにオレに媚びなかったし」
樹「オレだって他人の目が怖かったし」
龍「…だからさ、コイツなら信じてもいいかな?って思えたんだ…」
樹「オレすぐ手が出るよ?」
龍「知ってる」
反省はしている。
後悔はしていない。たぶん。
オレ不器用だからさ…人の正しい愛し方とか知らないんだよねw
樹「ねぇ会長?」
龍「ん?」
樹「今さらな事言っていい?」
龍「なんだ?」
樹「オレは…やっぱり会長の事好きだよ。もう諦めがつかないくらい本気で好きだったよ」
会長はオレを見たまま固まった。
やっぱり…ちょっといきなりすぎたかな?
龍「なんで過去形?」
さすが会長。
ツッコミ所が他人と違う。
樹「んーっと、この恋が叶いそうになかったから…?」
諦めたくはないけど…会長が燐音に本気で恋してるならオレは身を引こう。
それが無駄な事であったとしてもオレは会長の邪魔になるような事はしたくない。
龍「……それについては…その、時間をくれ」
樹「え?」
龍「今はまだ答えを出せない」
樹「会長のばぁーか」
龍「バカって言うなよ…」
ちゃんと考えてくれるんだ。
バ会長にときめくオレって…。
ヤバい…今顔赤いかも…。
樹「んじゃ、帰るね?」
龍「気をつけろよ?」
オレは部屋のドアを閉めながら、会長に言った。
樹「やっぱり…大好きだよ。会長」
ギィー…ガッ
えっ!?ドアが勝手に…。
会長の部屋のドアって自動ドア?
ナニソレ近代的で便利だな。
ぎゅーーっ。
再び会長に後ろから抱き締められた。
―樹哉視線終了―
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