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オレは寝返りを打ち理事長と向き合った。
聡「ん?その気になったのかい?」
燐「そんなわけあるかぁ!!」
聡「…っ…うがぁっ!!」
オレは理事長に目潰しをした。
燐「…………」
聡「うぁぁあー目がァ!痛いよ!流石に目潰しは痛いよ燐音くん!!」
燐「……ヒック…酷い、ですょ……りじ、ちょ…」
聡「……待って、目があくまでちょっと待って」
燐「…………はい…」
流石の理事長も目潰しには弱かったわ。
聡「……ごめん。ふざけすぎたよ。…イヤだったよね。本当にゴメン」
珍しく理事長は謝り反省していた。
ただ凄く理事長の目は真っ赤で涙目だった。
燐「……ぃじ、わる…し…なぃ、で…」
聡「ゴメン。君を見ているとどうしても君のお父さんとダブって見えちゃって…ついイジメたくなっちゃうんだよね…」
燐「…………」
やけに意味深だなこの野郎。
聡「泣かせるつもりはなかったんだ…」
燐「うぅっ」
聡「…大丈夫?燐音くん…」
燐「…………」
理事長はオレの目元に溜まった涙を拭ってくれた。
そして頭を撫でられた。
聡「…これ、いい訳になっちゃうけど…私、夜になるとこうなっちゃうんだ。…昔色々あってね…。ごめん。私…ソファーで寝るね…」
そう言うと理事長は寝室から出ていってしまった。
………あれ……?
なんだろう。この罪悪感。
なんだろう。この消失感。
理事長の凛とした後ろ姿を見たら何故か罪悪感と凄い消失感を感じた。
さっきまで2人いた空間だったのに1人になった瞬間に思った。
オレ…いつかまたひとりになっちゃうのかな?
もしかしたら…海斗先生に捨てられるかもしれないし…。
……ヤバイ。涙が止まらない。
オレ…今、情緒不安定なのかな…?
悲しい。寂しい。…1人になりたくない。
なんで男に捨てられた時の女の心境になってんだろ…オレ。
ほんと…どうしちゃったんだろ?オレ。
オレは頭まで布団を被ると体を丸めて寝た。
……全然眠れないけど。
理事長の気遣いでオレの事を1人にしてくれたけど、その気遣いでなんでオレは傷ついているんだろ?
もう、わけがわからないよ。
やっぱり、理事長と海斗先生…似てるからそう思うのかな?
あの後ろ姿も髪型も髪色も身長も違かったけどダブって見えた。
ー燐音視線終了ー
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