11683人が本棚に入れています
本棚に追加
/421ページ
水面からの光を透して、水槽の水がゆらゆらと揺らめいている。
ぽこぽこというエアーポンプの音は、規則正しいようでいて、そうではなくて、なんとなしに聞いていると眠りを誘われた。
夜行性の車海老は、昼間はくりくりとしたまんまるな目だけを出して砂の中に潜っているが、今はどのコも透明感のある艶やかな姿を見せて、鮮やかに煌めく尻尾のブルーを自慢するように黄色と青に彩られた沢山の脚を動かしている。
届いた時に比べて随分と数は減ってしまったけれど、最近はどうやら落ち着いてきたようだ。
「ふふっ……」
璃桜は水槽の縁を、トントンと曲げた人差し指でノックするように叩く。
あの時いきなり、水槽、エアーポンプ、海水の素、etc…、用意させた朔耶に璃桜は心底驚いた。
流石の璃桜だって、送られてきたこのコ達が観賞用ではなく食用だということは一目見ただけで分かった。
だけど、動揺しながらも平然を装ってしまったことは、あの人には直ぐに見破られてしまった。
最初のコメントを投稿しよう!