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『食わないんだったら、飼うしか無いだろう? 』
そう言い退けた朔耶は、呆れる浩輔に手配をさせ、この部屋に必要なものを運び込ませた。
贈答用の食用の車海老を本気で飼うなんて、普通では考えられないことだ。
でも、ぴょんぴょんと跳ねるこのコ達を見た時に、可愛いと思ってしまったのも事実。
そして、いつも仕事で遅い朔耶をこの部屋で待つ璃桜の淋しさを、この小さな生き物の存在は確かに埋めてくれていた。
もしかしたら、朔耶さんはそこまで見越していたのかも知れない。
だって今となっては、見れば見る程に綺麗で可愛いこのコ達を、もう食べる物だなんて絶対に思えない。
自然や養殖と違って、そう長くは生きないと聞かされても、それまでは優しさをくれるこのコ達を大切にしたい思う。
ーーー不思議、どうして朔耶さんは私のことが、こんなによく分かるんだろう……。
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