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「……何を一体、拗ねているんだ? 」
布団にすっぽりとくるまり、顔を隠す璃桜の耳に朔耶の弱った声が降ってくる。
さらさらと優しく髪を撫でる感触。
触れる指先からも、朔耶が困っていることが分かる。
でも璃桜はどうしても今、朔耶の顔をまともに見られないと思った。
いくら久方ぶりとはいえ、愛する人との触れ合いは璃桜を溺れさせた。
朔耶は璃桜の身体を一番に考えて、冷静に抱いてくれたのに……だ。
浩峨先生からもあんなに、感じ過ぎないように言われたのに、ゆっくりと時間を掛けて愛されて、結局は我慢なんか出来なくなってしまった。
もう、私ったら母親になる自覚が足りなすぎる。
特に違和感もないし、張りもないし、お腹は大丈夫だと思うけれど、自分が情けなくて堪らなかった。
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