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ごめんね、おちびちゃん。
璃桜は心の中でお腹の子どもに謝る。
あなたのことをとても大事に思ってる。だけど、お母様はお父様のことがすごく好きなの。
……そう、自分で自分の気持ちのコントロールが出来なくなってしまうくらいに好き。
改めて朔耶への想いを自覚して、甘酸っぱいような感覚が全身を巡る。
「本当は、するのは嫌だったか? 無理強いさせたか?」
布団越しに、朔耶の気遣う声がくぐもって聞こえた。
いつもは王様みたいな態度のくせして、こういう時はどうしていいか分からないという様に璃桜を甘やかすから、申し訳ないと思う反面、胸の奥がポッと温かくなる。
嫌がってなんていなかったこと、朔耶さんが一番よく知っている筈なのに。
「まさか、具合が悪くなった…… 」「ごめんなさい、私」
どんどんエスカレートしていく朔耶の心配に、璃桜は瞳を布団から覗かせた。
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