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ところが、こちらを伺う端整な顔が思ったよりも間近にあって、驚いた心臓が大きな音を立てて跳ねるから、璃桜は反射的にまた掛け布団の中に隠れる。
「璃桜……? 」
どうしよう、ドキドキする。
今度は別の理由で顔を見ることが出来ない。
それ以上のことをした後なのに、これだけのことでこんなになってしまうなんて、私はどれだけ朔耶さんに恋しているんだろう。
「璃桜 」
小さな吐息とともに、掛け布団に手が掛けられた。
綺麗な薄茶色の瞳の前、心の全てを曝される予感にぎゅっと上の端を両手で掴む。
「……ちゃんと俺に顔を見せろ 」
柔らかな声と布団から出た指に触れる口唇の感触。
ビク……と身体が自分の意に反して大きく震えた。
それは一瞬で離れていったが、口づけられた指先はまるで火傷したように熱い。
胸の高鳴りも治まるどころか、騒がしくなっていく。 こんなに煩くては、朔耶さんにも聞こえてしまうかもしれない。
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