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「……っ?! 」
言い当てられて、璃桜は更に顔が蒸気するのを感じた。
しかし、花が綻んでいくような朔耶の微笑みからは目を逸らすことが出来ない。
脳裏に浮かんだのは、薄暗闇にほんのりと浮かぶ淡い色の桜。
「……どうした? 」
「綺麗…… 」
見惚れてうっとりと呟けば、形の良い眉を少しだけ寄せた。
動いた空気に、ひらひらと花びらが散る。
「は? 」
先程まで、強い力で璃桜を翻弄させていた男にそんなことを思うのは変なのかも知れない。
だけどこのヒトが、力強さの中に儚さを隠し持っていることを、私は知っている。
璃桜は引き止める為に掴んだ指に、ぎゅっと力を込めた。
「何処にも行かないで…… 」
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