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私達の名前は母が名付けた。
上の兄は樹、二番目は壱葉。
そして、三番目の私は美花。
三人で七瀬家という大きな木を成していくようにと。
けれど、七瀬家には本物の花があった。
はらはらと舞い散る花びらのように、清楚で儚げで見る者全てが心を奪われる。
幾ら美しく咲いても、大木の桜には敵わない。
それに気付いたのは、いつだったろうか。
木には、一種類の花しか咲かない。
ーーーだから、私は要らない……と。
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