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「ごめんよ、僕しかいなかったんだ 」
釈放された時に、警察まで迎えに来たのは見知らぬ男だった。
誰? コイツ……。
無視して脇を通りすぎようとすると、「ちょっと、ちょっと! 」と腕を掴まれる。
「物凄く不審がってるね? 心配しないで、怪しい者じゃないから。 君のお兄さんに頼まれたんだよ 」
「壱葉兄さんに? 」
ニコニコと馬鹿みたいに笑っている顔は、改めて見るとどこかで見たことがある気がした。
艶のあるサラサラとした黒髪。 柔らかく細めた漆黒の瞳は、一見人懐こそうで相手に安心感を与えるけれど……、あっ。
「橘…… 」
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