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****** 「ごめんよ、僕しかいなかったんだ 」 釈放された時に、警察まで迎えに来たのは見知らぬ男だった。 誰? コイツ……。 無視して脇を通りすぎようとすると、「ちょっと、ちょっと! 」と腕を掴まれる。 「物凄く不審がってるね? 心配しないで、怪しい者じゃないから。 君のお兄さんに頼まれたんだよ 」 「壱葉兄さんに? 」 ニコニコと馬鹿みたいに笑っている顔は、改めて見るとどこかで見たことがある気がした。 艶のあるサラサラとした黒髪。 柔らかく細めた漆黒の瞳は、一見人懐こそうで相手に安心感を与えるけれど……、あっ。 「橘…… 」
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