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「……それで、橘さんの兄である貴方に、私の兄さんが何を頼んだっていうの? 」
「うん、君行くとこないでしょ? ウチに来ない? 」
「はっ? 」
一瞬、言われたことが分からなくて、頭の中が白くなる。
「あっ、来いっていうのは遊びに来ないかってことじゃなくて、ウチに住まないかってこと 」
この男は、何を言い出すのか。
突然の申し出に、美花は目を瞠った。
「アンタ、馬鹿なの? 」
「馬鹿とは、今まで言われたことはないなぁ…… 」
真剣に考える仕種を見せるこの男に、美花は本気で呆れた。
「私が何をしたかなんて、全部知っているんでしょう? いくら頼まれたからって、前科持ちの女を家に入れるとか冗談でもよく言えるわね 」
「あれ、君。 起訴猶予は不起訴と同じって警察で教えてもらわなかった? 君には前科はないよ。 前歴はつくけど、もう悪いことする予定はないだろう? それなら心配することない 」
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