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「聞きましたけど…… 」
……微妙に、会話が噛み合っていない気がする。
コイツ、危ないヤツかも。
美花は相手にするのをやめようと、心の中で決めた。
「お気遣いありがとうございます。 でも、私は兄の所に行こうと考えていますので…… 」
ところが、さっさと立ち去ろうと頭を下げると、「あっ、知らないのか! 」と男が素っ頓狂な声をあげる。
その声に引き留められて美花が男を見ると、男は気の毒そうな表情を美花に向けた。
何よ、その目……。
「……知らないって何がですか? 」
どうして私がこんなヤツにこんな目で見られなくちゃいけないのよ。
苛ついて聞けば、男は信じられないことを口にする。
「あのね、壱葉くんは今、僕の弟と……浩輔と一緒に暮らしてんの 」
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