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いくら、主からいいと言われたからって、初めて会った、よく知らない相手の部屋に一人で入るのは流石に抵抗があった。
それでも、他に行く宛てがある訳でもない。
403、橘……
表札の部屋番号の横に書かれた手書きの字。
教えてもらった部屋の前で暫く逡巡したのち、美花は思い切って預かった鍵を鍵穴に通した。
「……おじゃまします 」
誰もいないと分かっていてそう言うと、美花は部屋の扉を開ける。
昼だというのに薄暗い室内、同時に籠った匂いが鼻を突いて、美花は形の整った眉を顰めた。
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