1*

11/40
前へ
/425ページ
次へ
いくら、主からいいと言われたからって、初めて会った、よく知らない相手の部屋に一人で入るのは流石に抵抗があった。 それでも、他に行く宛てがある訳でもない。 403、橘…… 表札の部屋番号の横に書かれた手書きの字。 教えてもらった部屋の前で暫く逡巡したのち、美花は思い切って預かった鍵を鍵穴に通した。 「……おじゃまします 」 誰もいないと分かっていてそう言うと、美花は部屋の扉を開ける。 昼だというのに薄暗い室内、同時に籠った匂いが鼻を突いて、美花は形の整った眉を顰めた。
/425ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11701人が本棚に入れています
本棚に追加