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****** 「うっわー……、すごいなぁ 」 いつの間にか戻って来ていた部屋の主は、玄関口で部屋を見渡すように額に手をあてた。 「久し振りに見たよ、綺麗なこの部屋」 何度も感嘆の声が漏らす浩峨を、奥のリビングの真ん中に疲れて直に寝ていた美花はぼうーっと見上げる。 「……お帰りなさい 」 いつの間に眠ってしまったのだろう。 あまりに酷い部屋に、この男が行ってしまってからずっと片付けをしていた。 「ゴミも全部、捨ててくれたんだ 」 「……下にいた人に聞いたら、ゴミの保管場所を教えてくれたから 」 「あ…… 」 つかつかと側に寄ってきた浩峨がふっ……と笑みを浮かべて、傍らにしゃがみこみ、美花の少しだけウェーブの残る乱れた髪に手を伸ばして来る。
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