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「自分の為にしたのよ。あんなに散らかってたら、座る所も無かったじゃない 」
「あれ?。 でも、そこの奥の部屋には何にも置いてなかったでしょ? 美花ちゃんの為に空けといたんだから 」
ん? それって……。
ニコニコとそう言う浩峨に、美花は目を見開く。
そして次の瞬間、こんなに汚い2LDKの一室だけ、どうしてか何も物が無かったことに合点がいった。
ふるふると握り締めた手が震える。
「ア……、アンタ、馬鹿じゃないのっ?! 」
「だから、馬鹿なんて言われたことは…… 」
「あの部屋にあった物、そっくりリビングにぐちゃぐちゃに移動させただけでしょうっ!? そんなの、片付けたって言わないわっ! 」
全てを言わさずに怒鳴ると、浩峨がきょとんとした目で美花を見つめてきた。
「誰も片付けたなんて言ってないよ? 僕、空けたって言ったよね? 」
そして、立ち上がりながら「はい 」と、美花に手を差し伸べる。
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