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いつも軽口ばかりで、軟派な奴なのにこういったときひどく真面目な顔をする。キドは目をそらそうとするが、彼の視線から逃れることができない。
ドクンとひとりでに心臓が高鳴った。風邪を引いて、少し息苦しさからパジャマのボタンを外していたのだ。カノもそれを見ているだろう。直したいけど、カノが見ている。
「あの人は、ねーちゃんはそうやってなんでも一人で背負いこんで、勝手にいなくなるんだよね」
「カノ?」
「ボクは、ボクはそれが許せないんだよね。団長だからって理由でなんでも背負いこんで、潰れちゃうんだ。そうなってほしくない。ボクたちのために団長になるって言ってくれただろうけどさ、団長だったら、団員に頼ろうよ」
仲間だよねと、カノは言った。普段の彼とはまったく違う雰囲気に、キドはギューッと唇を噛んだ。
「…………うん」
とキドは頷く、目元から溢れる何かを隠すようにカノが彼女を抱き寄せた。
「ボクやセトもいるしさ、頼ってくれていいからね。つぼみ」
ポンポンと彼は、キドの頭を撫でる。
「つぼみって言うな」
と答えた。
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