3月11日

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太陽が沈みそうな頃 あまりの恐怖に 耐えられなくなって とうとう 交番へ駆け込んだ そんな時ーー… ずっと一緒に捜してくれていた おじいちゃんから電話が掛かって来て 「見つかった!俺のベッドで寝てた!」って… そんな笑えちゃうようなオチだった だけど あたしは嬉しくて嬉しくて ただ 無事でいてくれた事が嬉しくて その場に崩れ落ちて泣いてしまった お巡りさんに「良かったね」って慰められて 「気をつけて帰るんだよ」って見送られて 家に帰ると、 あたしの気持ちなんか 知らないサクラが いつもの無邪気な笑顔で あたしに両手を広げてきた ギューッと抱き締めると サクラも小さな手で一生懸命 あたしを抱き締めてくれて… もう耐えられなくて 嗚咽を漏らしながらしながら しばらく泣いた 手を伸ばせば触れられる距離に居る事が 堪らなく幸せだと思った そんな当たり前の事が 堪らなく 堪らなく 幸せだと思った 本当に良かった なんでもなくて良かった 無事で良かった 生きててくれて良かった 大袈裟だけど 本当にそんな風に思った 絶対絶対絶対失いたくないって 改めて思い知らせた日だった
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