それは唐突に訪れる

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「楓さん、帰ろ。」 智美が会計を済ませたのか、肩を抱いてきた。 「そうだね、またいつもの日常に戻るだけだしね。」 珍しくタクシーも呼んでいたらしく、手早く乗せられる。 ずっと真剣な表情の智美に、色々聞いたが何も応えてくれることはなかった。 マンションにつき、乱暴にタクシーから下ろされると、やっと口が開かれる。 「姉さんを許せない時、受け入れられない時、必ず私の元にきて。絶対。それで私と付き合わなくてもいい。でも1番に私のところにきて!」 閉められた窓には涙姿の智美がいた。 何のことか分からず、ふらふらと部屋の鍵をあけると電気がついていた。 彼女の靴もある。 「吹雪?」 慌てて廊下を走れば、テーブルにはフルーツ沢山のタルトと手作りの料理が置かれていた。 付き合いだした記念にと、その年のワインも用意されている。 「どうして・・?博人は?」 「お帰りなさい、楓。」 いつもと変わらない彼女の笑顔。 上着を脱がしてくれた。 「質問に、答えて。博人は?」 「ちゃんと別れてきた。」 「別れてきた?」 上着を倚子にかけ、吹雪は両手を握ってきた。 「一方的に別れられたから、ずっと心の整理がつかなかったの。だから再会した時は嬉しかったけど、もう終わってたの。」 気持ちがついていかず、何か言いたかったが、吹雪にもっていかれた。 「2周年記念、してくれない?私、楓とこれからもずっといたいの。」 「もう、誰かに奪われる心配しなくていいの?」 「ええ。ずっと、楓のよ。」 「・・・智美は、この事知ってて?」 「楓、携帯切ってたから。智美に連絡したのよ。楓を連れて帰って欲しいって。そしたら今度こそ白黒つけなきゃ、姉妹の縁を切るって怒鳴られたわ。」
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