それは唐突に訪れる

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「ありがとう、智美。」 「やめてよ!2人して頭下げられたら、私が惨めじゃない。」 智美を呼び出し、2人でお礼をしたのだった。 「ケーキも、智美がいったんだろ?甘くないのにしてやれって。」 「いつまでも無理して食べてたからよ。」 自分のことよりも吹雪を優先し、食べ物も好き嫌いを言わない関係に苛々していたのだろう。 智美はぶっきらぼうに頬杖をつき、ジュースを飲んだ。 「分かってるわよね?今度何かあったら、姉さんとは絶縁だからね!」 「分かってるわ。楓も智美も、大切だもの。」 「良い奴だな、お待って。」 「今更気づいても遅いわ。」 憎まれ口を叩きながらも、智美は紙袋から花束を取り出した。 「はい、記念日のお祝い。幸せになってね。」 「ありがとう。」 「ありがとう、智美。」
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