ありがとう

4/8
前へ
/94ページ
次へ
それから、小雪と交際するようになり、体を重ね、時々小雪が家に通うようになった。 そして、ほどなくして、彼女の両親が病にかかり大金が必要になったと相談された。 ついに来たと思った。 もしかしたら、と僅かな希望さえ願ったがそうもいかなかった。 「そうか。いつまでに必要なの?」 「1週間以内にって言われてる。私もそれまでに出来るだけ集めるわ。でも、それでも無理ならソープに移らなきゃ駄目かもしれない・・・。」 「小雪・・・。」 ぎゅっと抱き締めた。 涙が溢れてくる。 タイムリミットまで、残り1週間かと思うと、淋しかった。 「小雪・・・。」 愛しそうに名前を呼び、しょっぱいキスをした。 小雪の涙が本物であればいいのに。 そう願いながら、痛いかと思うほど抱き締めた。 「好きよ・・・。」 その言葉に、本心が少しでも含まれていますように。
/94ページ

最初のコメントを投稿しよう!

104人が本棚に入れています
本棚に追加