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「お勤め、お疲れ様です。」
無機質な高い壁沿いに出てきた百華を傘を差して待っていた。
「なんで・・ここに?」
「面会も手紙も拒否されたから、待ってたんだよ。予定より早かったね。」
「・・・何しに来たの?お金は返したわ。」
小さな傘では荷物が濡れてしまっていた。
自分の傘と交換させ、再び一歩下がった。
「はっきりさせたい事があって。」
「なに?」
「好きだった?私のこと。」
「そんなこと?ただ起訴しなかった御礼にお金を返しただけよ。はなから騙すつもりで近づいたわ。」
「そっか。」
ただその一言だけ呟き、背を向けた。
聞きたかったのは、それだけだった。
それだけの為に、この日を待っていた。
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