アルコールの力

5/6
前へ
/94ページ
次へ
あれよあれよと流れのままに2度目のラブホテルへ連れ込まれた。 しかも今回はアルコールも入ってない、しらふ中のしらふで。 「やるわよ。」 「いや、やるって。まってまって。」 「うるさいわね。ここまで来たなら覚悟しなさいよ。」 何故私が駄々っ子扱いされるのか! わけが分からなかったが、下着姿の彼女を前に大きく揺らぐ理性は正直だった。 「また、後悔しますよ?」 「今度はしないわ。酔ってないし。」 「でも、彼氏いるじゃないですか!」 「女同士でも、いたら駄目なの?」 「遊びなら、他の人でしてください。」 最後の台詞で理性がやっと平穏に戻った。 同性相手だと浮気にならない。そんな考えに、一気に冷めたのだ。 「あー、聡志?私、梨華。別れるわ。じゃあね。」 ぴっと通話ボタンを押し、履歴を見せるように携帯画面をかざした。 「これでいい?」 一瞬の出来事すぎて、言葉を失った。 いや、言葉が出てこないという状況に初めてなった。 「普通、それで関係終わる?!」 「別に、深い付き合いでもなかったし。」 とんでもない人と絡んでしまったのでは。 冷や汗が背中に滲んできたのがわかった。 「色々確かめたいの。早く抱いて。」 なんなんだ、こいつは。 せめて、あの夜のように官能的に誘ってくれてたらその気にもなったのに。 到底抱く気も起きなかったが、同時にあの夜、愛しそうにキスマークをつける彼女を思い出した。 もう一度、見れるならあの時の彼女がみたい。 「もうなるように、なれだ。」 勢いに任せ、服を脱いだ。
/94ページ

最初のコメントを投稿しよう!

104人が本棚に入れています
本棚に追加