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さりげない黒田君のエスコートに感心しつつ、葉月に視線を向けた俺は思わず息を飲んでしまった。
何故なら、葉月はそんな黒田君と映見を初めて見るような険しい瞳で見つめていたからだ。
そして俺は悟る。
ああ……あの夜、黒田君が尋ねたのはやっぱり葉月だったのか……。
しかし俺の視線に気づいたのか葉月はいつものようにヘラッと笑みを見せると俺の隣に座った。
そしてコソッと耳打ちする。
「部長、映見はどうも黒田君が好きみたいです」
「……そうらしいわね」
「でも黒田君も映見のことは本気だって言ってたので、心配しなくても大丈夫だと思います」
「……ふぅん……」
葉月の耳打ちに頷きながらも、俺の心が激しく揺れている。
それは映見と黒田君のことよりも、葉月が今、どんな思いでこの光景を見つめているのかという部分でだ。
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