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影野は、このときまだ、無職であった。
麻布や六本木をこよなく愛し、昼は、おしゃれなバールで過ごすことが多かった。
いつも推理小説を読んでは過ごしていた。
やがては探偵になり、事件を解決するのだろうという自信をこころの奥底にいつも持っていた。
根拠はなかったが。
探偵は事件さえ解ければ、なれるのである。
昼を過ぎると、高校生の群れが押し寄せる。
彼らの語る日常の些事をイージーリスニング代わりに推理小説を読み進めていく。
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