チートとチート

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空から落ちてきていた隕石も、男性が謎の力で上に打ち返したことで、空に居る何かにぶち当たって爆発した。落ちてくるその破片を男性はチラッと見ると、タケルや自分に当たらないように手のひらを動かして、またもや謎のパワーを使って遠くに落ちるよう調整してくれた。 周囲に広がる火柱や煙を見て、タケルは口を大きく開けっぱなしだった。これほどの攻撃は見たことがないし、自分がまきこまれるなんて考えもしなかったのだ。 「どうした。進藤タケル」 男性は微笑んでタケルを見ていた。先ほどまで警戒していた態度とは打って変わり、今はタケルのことを数十年来の仲間のような表情で迎えている。 「あの……どうして、攻撃がわかったんすか」 震える声でタケルは尋ねた。今の攻撃は、タケルが教えなければ誰も気づけないほど、突然に、十分な距離を取って行われたはずだ。 男性は首を横に振った。タケルの言葉を否定するというよりは、今攻撃してきた者たちに呆れているという方が近かった。 「バレバレだったのだよ。気配がな」 「気配……っすか」 「そう。大勢の暗殺者に狙われていることは、この場所についてからすぐに分かっていた。私を殺すつもりなのも感じた。だが本当に私を撃つつもりなのか見極めてから対処しようと思ったのだ……私が甘かったようだがな」
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