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璃桜の言葉に、橘は訝る顔をした。
「それは、どういう……? 」
「私、学校も送り迎えだったので使う所もなくて、持ったこともないんです。」
世間知らずで恥ずかしいけれど、言わなくてはしょうがない。
「でも、一人暮らしして、働いてたんでしょう? 」
「はい、でも必要ありませんでしたから…。 」
想像も付かなかったらしい橘は呆然としていたが、ハッ…と我に返ると口元に拳を当てて笑い出した。
「本物の深窓の姫君だ……。」
「橘さん…っ! 」
「いやいやごめん、…それにしてもそれでよく、家を出ようと思ったね? 」
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