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璃桜のあまく零れる声に限界を感じ取った朔耶は、掠めるように口唇に触れると璃桜を先へと促す。
サラサラと揺れる薄い茶色の髪とハラハラと散る透明な水滴が、朔耶の律動とともに璃桜に振り掛かった。
「イけよ、俺も直ぐだ…。」
薄く開いた瞳に、気付いた朔耶が淡く微笑み、璃桜は見惚れて息を飲む。
胸を締め付けられる痛みに、璃桜は思う。
誰にそしられようが、裏切者と言われようが、もう構わない…。
欲しいものは一つだけ…、それが叶うなら何んでもする…。
それは、両親が亡くなってから全てを諦めて、何も欲しいと思わなかった璃桜の初めて願ったものだった。
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