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空に目を向けて、朔耶が呟く。 「…父親だ。」 一瞬、璃桜は何を言われているのか分からなかった。 「桜を見るのも描くのも好きな人で、男でも女でも《朔耶》と名付けるつもりだったと聞いた。」 先程、璃桜が聞いた質問の答えだと分かって、遠いことを語るような寂しい話し方に、聞いてはいけなかったのかも知れないと思う。 そして気付く…、橘の話してくれたこと。 あの話が本当ならば、朔耶には血の繋がった身内は、もうこの世にはいない筈なのだ。
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