811人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
空に目を向けて、朔耶が呟く。
「…父親だ。」
一瞬、璃桜は何を言われているのか分からなかった。
「桜を見るのも描くのも好きな人で、男でも女でも《朔耶》と名付けるつもりだったと聞いた。」
先程、璃桜が聞いた質問の答えだと分かって、遠いことを語るような寂しい話し方に、聞いてはいけなかったのかも知れないと思う。
そして気付く…、橘の話してくれたこと。
あの話が本当ならば、朔耶には血の繋がった身内は、もうこの世にはいない筈なのだ。
最初のコメントを投稿しよう!