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さっき壱葉に言われて熱いシャワーを浴びてきたばかりなのに、すっかりと冷たくなってしまった身体を璃桜は震わせる。
バスローブ一枚でも暑く感じる程に、部屋は暖めてくれているというのに……。
「あの時、私があんなことを言わなければ、いつものように受け入れていれば、きっと樹は…… 」
病院で樹の亡骸に、半狂乱になって縋りついていた叔母。
茫然とそれを見つめる叔父。
壱葉に抱き付いて泣く美花とそれを受け止める壱葉。
そして、自分は……。
「だって、あの数時間前まで、樹は生きてた…っ 」
手の平に残る、樹の鼓動の記憶。
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