15.

2/38
614人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
「それじゃあ、先ず一番大切なことを聞こうかな… 」 医師は椅子をグルリと璃桜の正面に向けると、真っ直ぐに瞳を覗きこんだ。 「君は、産むんだよね? 」 真剣な表情。 先程の柔らかい笑顔は嘘のようで、璃桜はゴク…っと息を飲む。 診察の時に見せてもらった超音波映像、動く心臓と既に見えた丸い手足。 自分の身体に宿る命、朔耶さんと私の……。 「はい…… 」 璃桜は医師の瞳を見返すと、躊躇わずに答える。 愛してあげる。 あなたのお父さまが愛してくれなくても、私が二人分愛するから、許してね……。 「……うん、良かった。おめでとうございます 」 医師は安心したように、表情を戻すとニッコリ笑った。 「先生…? 」
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!