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溢れてきた涙を堪えると、目の奥がキン…と痛み始める。
胸が苦しくて、息が出来ない。
ほら、考えただけでこんなに心が悲鳴をあげるのに……!
璃桜はぼやける視界の中、橘を見つめたまま、じりじりとバッグを置いている籠に近付く。
「……橘さんの立場も、言っていることも分かります。 でも、もう…これ以上、傷付きたくないんです 」
喉の奥がひりついて、うまく声が出せない。
「璃桜ちゃん、落ち着いて? 朔耶とも話し合えば、きっといい答えが… 」
「お話ししない…なんて、言っていません。 少しだけ…、気持ちを落ち着ける時間が、欲しいだけです 」
もう少しで、バッグに手が届く。
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