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ぶんぶんと首を振る壱葉に、橘は近付いていく。
「嫌だ…、来るな…っ 」
後退る壱葉に橘は大きくため息を吐き、朔耶の方へ肩越しに振り返る。
そして頷く朔耶を確かめると、橘は璃桜と壱葉を見比べながら話し始める。
「……君も璃桜ちゃんも小さくて、あまり覚えていないかも知れないけど、璃桜ちゃんのご両親が亡くなった時、車を運転していた朔耶の父親も一緒に亡くなった。
そして、君の両親は、全ての罪を朔耶の父親に押し付けて、残された朔耶と従業員だった母親を《七々瀬》から追い出したんだよ。
……車のブレーキに細工されたらしき跡があったことを隠して 」
「だから…っ! どうしてそれがっ、俺の親がやったことになるんだよっ! 」
ギロリ…と睨む壱葉に、橘は小さく首を振る。
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