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「アンタが俺の母親にずっと懸想していたことも、随分と有名な話だったらしいな。 しかし母は父を選んだ。 父はアンタの兄であり社長である当主に、腕を見込まれ気に入られていたから、手出しも出来ずに自分は仕方なくあてがわれた分家の娘と結婚した。 ……目障りな自分の兄と俺の父を亡き者にした時、やっと全てが自分の物になると思ったか? 」 くくっ…と、朔耶が籠もらせた声で笑う。 「しかし、まさか囲い者にしようとした母が自ら命を断つなどとは、思いもよらなかったんじゃないのか? あぁ…、一度は想いを遂げたのだから、それはそれで、アンタは満足か 」 七瀬本家を実質継ぐ形となった璃桜の叔父は、事故の後、死者である朔耶の父に事故の罪を全て着せて、〈七瀬〉内部から家族の存在を抹消した。 しかも当時、業界で絶大な力を持っていた〈七々瀬〉の社長をも就任すると、朔耶の母を〈七々瀬〉から解雇させ、その後この世界では生きられないように手を打った。
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